春の中国史祭り
こんにちは。Sです。
以前から書いている孔子のことをそろそろ書こうかなぁって思ったんですけど、時間が空いたことで、またみなさんに紹介したいものがいろいろありましたので、今回はそれを紹介させてください。二つありまして、本とYou Tubeのチャンネルです。
一つ目の本は「古代中国の日常生活-24の仕事でたどる1日-」です。2022年2月に発売されたばかりの本です。この本では古代中国の24時間をいろいろな仕事にスポットを当てて紹介しています。この作品の優れたところは古代中国の生活を物語形式でえがいていることです。それも、かなり活き活きとえがかれており、まるで登場人物が目の前に現れて、彼ら彼女らの姿を通して本物の古代中国の生活を目の当たりにしているような錯覚に陥るほどです。若干オーバーに表現しましたのは僕がそれほどの衝撃を受けたからです。この衝撃は今までに読んだ本の中でも上位にくるものでした。たぶんトップ10には入りそうです。最近出た古代中国の生活をえがいた本としては「古代中国の24時間-秦漢時代の衣食住から性愛まで-」が有名ですが、こちらは上記の本を読んでから読むことをおすすめします。かなりの良作ですが、上記の本と同じく物語形式を取っているわりには説明文が多めで講義を受けている形式に近いので、古代中国にある程度の興味や関心がないと、読破は難しいのではないかと個人的には思っています。ただ、この本は、さすがは古代中国史の研究者が書いただけあるという感じで,微に入り細に入り、古代中国の生活がえがかれていて貴重な一冊です。もし、古代中国の沼にどっぷりハマっていただけたなら「中国古代の生活史」 (歴史文化セレクション)と「ある地方官吏の生涯-木簡が語る中国古代人の日常生活-」も楽しんで読んでいただけると思います。特に「中国古代の生活史」 の方は古代中国の生活史の古典に近い本なので、ここまで読まれる方は、ぜひ直接会ってお話がしたいレベルですね。古代中国史の話で盛り上がりたいです。ちなみに、古代中国ということで言えば、2022年の5月現在、古代中国の展覧会として「兵馬俑と古代中国〜秦漢文明の遺産〜」が全国4会場を絶賛巡回中なので、訪れてみることをおすすめします。京都、静岡、名古屋、東京ですね。個人的には漢代の兵馬傭にしびれました。秦の兵馬傭は、大学時代に、東京で兵馬傭展が開催されたときに見ていましたが、漢代の兵馬傭は今回初めて見たので印象深かったです。プラモみたいに組み立て式になっているんですよ。秦の兵馬傭は大型なので想像がつきますが、漢代の兵馬傭は縮小したのに組み立て式なんだって変なところで感心しました。古代のマニュファクチュアですね。組み立てられる前の傭も飾られていましたよ。それと、いらっしゃるかはわからないのですが、古代中国の思想に興味がある方は物語形式というか、対話形式で老荘思想を説明している「このせちがらい世の中で誰よりも自由に生きる自己啓発の到達点「老子」「荘子」の考え」もオススメです。この本も僕が衝撃を受けた本のトップ10に入ります。そのうち、僕が衝撃を受けた本のランキングとかも紹介させていただきたいですね。あっ、ちなみにこれも詳しくは説明しないのですが、最近読んだ本で、大漢和辞典を編纂した諸橋轍次先生の書いた「荘子物語」も面白かったので、お時間のあるときにみなさんもお手にとってご一読してみてください。
二つ目のYou Tubeチャンネルは「鳥人間 中国史三昧」です。このチャンネルは僕がいろいろと見てきた中国史系のYou Tubeチャンネルのなかで最も優れたチャンネルです。特徴としましては前近代を網羅する動画の種類とここを一番推したいのですが、地図を多用しているところです。中国史に限らず、歴史をやっていると、地理関係がわからずに悩むことが多々あります。だから中学では地理と歴史は並行して学ぶところが多いのかもしれませんね。それはともかくとして、このチャンネルは地図で地理関係を示して僕たち視聴者に、今話している内容がどこらへんで起こったことかを理解する手助けをしてくれます。ちなみに中国史関係の資料というか、文物というかそういうものもたくさん使われていて面白いです。個人的には、故宮博物院が作った清の雍正帝のコラ画像と、北宋の狄青のフィギュアがお気に入りです。さらに、このチャンネルは基本的に人物史が中心的なのですが、社会・経済史まで取り上げて説明してくれるので、各時代の中国史を楽しく学ぶことができます。まず入門として、明の万暦帝の動画などはいかがでしょうか、と言いたいところなのですが、僕のような仕事をしている人が明の万暦帝をおすすめするのはちょっと気が引けるので、唐の太宗 李世民の動画などはいかがでしょうか。少し前に、「100分de名著」で紹介されていた「貞観政要」の主人公的ポジションの人です。隋唐交代期に英雄として活躍する物語から玄武門の変での苦悩、さらには貞観の治と呼ばれる優れた政治を行った名君としての姿まで太宗の波瀾万丈の人生はみなさんを魅了することでしょう。また、番外編として、唐の太宗のパーソナルな部分に焦点を当てた回も面白いですよ。特に隋末唐初の混乱期の活躍は、地図がないと、ちょっと理解しにくいという僕の言葉を実感していただけるでしょう。
このチャンネルはぜひおすすめなので一度見てみることを推奨します。
さて、今回はこの辺にしておきます。ここまで読んでいただき、ありがとうございました。